老眼と近視の違いから矯正方法・眼鏡選び・生活習慣まで解説
老眼と近視の違いはわかりづらく、近視の人が年齢を重ねて老眼になった時に“まだ大丈夫、、。”と思ってしまいがちです。ここではそもそも老眼と近視の違いは何か?から、近視の人が老眼になった場合、眼鏡はどうしたらいいのか、また眼鏡以外の老眼の矯正方法から目の疲れを軽減する生活習慣まで、老眼と近視に関する疑問を解決していきます。
目次
1)老眼と近視
①近視とは?
②老眼とは?
③老眼と近視の違い
④近視の人が老眼になるとどうなる?
2)近視の人が老眼になった場合の矯正方法
①眼鏡
②コンタクトレンズ
③眼内レンズ手術
3)近視の人が老眼になった場合の眼鏡選び
①遠近両用レンズ
②近視用眼鏡と老眼用眼鏡(老眼鏡)の使い分け
4)近視の人が老眼になった場合の生活習慣
5)近視の人が老眼になった場合のQ&A
①近視の人が老眼になると、眼鏡はどう変わる?
②近視の人が老眼になった場合、レーシック手術は受けられる?
③近視の人が老眼になった場合、どのように生活すればよい?
1)老眼と近視
①近視とは?
近視とは、遠くのものがぼやけて見え、近くのものがはっきり見える状態のことを言います。眼球の形が前後方向に長くなり、目に入った光が網膜より前にピントの合う状態のため、遠くのものがぼやけて見えたり、目を細めたり、頭痛や肩こりを伴ったりといった近視の症状があります。
近視は、遺伝や環境の影響を受けると言われ、近年は子供の近視が急増しており、社会問題となっています。
近視の矯正方法には、眼鏡、コンタクトレンズ、レーシック手術などがあります。近視を予防するには、屋外活動を増やしたり、読書やスマホの使用時間を制限したり、適度に目を休ませることなどが効果的と言われています。
引用:日本弱視斜視学会『近視とは』
https://www.jasa-web.jp/general/myopia(参照2024/03)
引用:文部科学省『学校保健統計調査-結果の概要』
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/1268813.htm(参照2024/03)
②老眼とは?
老眼とは、年齢とともに近くのものが見えづらくなる目の状態のことを言います。加齢に伴って水晶体の弾力性が低下し、ピント調節機能が衰えることが原因で起こります。近くのものが見えにくくなったり、近くから遠くへのピント合わせに時間がかかったり、日が暮れて辺りが暗くなると見えづらくなったり、目の疲労を感じたりといった老眼の症状があります。
老眼は、40代頃から始まり、年齢を重ねれば誰にでも起こります。
老眼の矯正方法には、眼鏡(遠近両用レンズ・中近レンズなどの累進レンズ・老眼用眼鏡)、コンタクトレンズ、雑貨店などで購入する老眼鏡(既製老眼鏡)、眼内レンズ手術などがあります。老眼は、加齢に伴う自然な現象のため、完全に老眼を予防することはできないと言われています。日頃から、目の疲れを軽減したり、適度な運動をしたり、バランスの良い食事を摂ったり、定期的な眼科受診が良いとされています。
③老眼と近視の違い
老眼と近視は、どちらも見え方に影響を与える目の状態ですが、原因と症状が異なります。
近視は、遠くのものがぼやけて見え、近くのものがはっきり見える状態です。眼球の形が前後方向に長くなることが原因で起こります。一方、老眼は、年齢とともに近くのものが見えにくくなる状態です。加齢に伴って水晶体の弾力性が低下し、ピント調節機能が衰えることが原因で起こります。
項目 | 近視 | 老眼 |
---|---|---|
原因 | 眼球の形や屈折力の異常 | 水晶体の弾力性低下 |
症状 | 遠くが見えにくい | 近くが見えにくい |
発症時期 | 子供から大人 | 40代頃から |
矯正方法 | 眼鏡、コンタクトレンズ、レーシック手術 | 眼鏡、コンタクトレンズ、老眼用眼鏡、既製老眼鏡、眼内レンズ手術 |
④近視の人が老眼になるとどうなる?
近視の人が老眼になると、遠くも近くも見えづらくなるという目の状態が現れます。
近視の人は、もともと遠くの光が網膜にピントが合わないため、遠くが見えづらい状態です。そこにピント調節機能が衰えることによる老眼が加わると、近くのものにもピントを合わせることが難しくなる状態になります。遠くも近くも見えにくい、ピントが合わせにくい、目が疲れる、頭痛や肩こりなどの症状が現れます。
近視の人が老眼になった場合は、眼鏡やコンタクトレンズ、眼内レンズ手術で矯正する必要があります。
2)近視の人が老眼になった場合の矯正方法
①眼鏡
近視の人が老眼になると、遠くも近くも見えづらくなります。そこで、眼鏡を使った矯正する方法は2つあります。
- 遠近両用レンズ(累進レンズ)
遠くも近くも見られるレンズです。1枚のレンズで遠中近の視力を矯正できるので、眼鏡の掛け替えが不要です。ただし、目の状態によって、度数や選ぶレンズのグレードなどから、慣れるまで時間がかかったり、ゆれやゆがみ、視野の狭さを感じる場合があります。
調節力がまだある40代から遠近両用レンズなどの累進レンズを始めると、比較的慣れやすく、老眼が進行する60代以降も、累進レンズをスムーズに掛け続けることができます。また老眼が進行すると、遠近両用レンズ1つでは日常生活が過ごしにくくなる場合があります。眼鏡店や眼科医に相談して、遠近両用レンズと中近レンズの掛け替えも検討しましょう。 - 近視用眼鏡と老眼鏡の使い分け
遠くと近くを見るために、それぞれ別の眼鏡を使用する方法です。状況に応じて使い分けるので、常にクリアな視界を確保できます。ただし、眼鏡の掛け替えが面倒だったり、持ち運びが不便だったりします。
また加齢によって、老眼の症状が進んだ60代以降に初めて遠近両用レンズなどの累進レンズを使用する場合、累進レンズに慣れず諦めてしまう方が多くいらっしゃいます。
②コンタクトレンズ
近視の人が老眼になると、遠くも近くも見えづらくなります。そこで、コンタクトレンズを使った矯正する方法は1つあります。
- 遠近両用コンタクトレンズ
遠くも近くも見られるコンタクトレンズです。1枚のレンズで遠くと近くの両方の視力を矯正でき、遠くも近くも自然にピントを合わせられます。ただし、慣れるまで視界がぼやけたり、暗い場所では遠くが少し見えにくくなる場合があります。
③眼内レンズ手術
近視の人が老眼になると、眼鏡やコンタクトレンズ以外にも、眼内レンズ手術で矯正する方法があります。
- 眼内レンズ手術
遠くも近くも見られる老眼に対応したレンズを挿入する手術です。老眼対応の眼内レンズなどで眼鏡やコンタクトレンズから解放され、クリアな視力を得られると言われています。ただし、費用が高額になる場合や、手術適応とならない場合があります。詳しくは医療機関にご相談ください。
3)近視の人が老眼になった場合の眼鏡選び
①遠近両用レンズ
近視の人が老眼になると、遠くも近くも見えづらくなります。そこで、遠近両用レンズ、中近レンズなどの累進レンズを使って矯正する方法があります。
- 遠近両用レンズ
1枚のレンズで遠くも近くも見られるレンズで、遠くの距離にピントが合う部分を広く取ったレンズです。1枚のレンズの中に、遠く・中間・近くの度数が入っています。近視矯正と老眼矯正を同時にできるので、眼鏡の掛け替えが不要になります。ただし、慣れるまでに時間がかかる場合があります。また、中間距離や近距離のピントが合う部分が少なめになることや、加齢によって老眼の症状が進むと、度数が強くなることによって50〜70cmの距離の見える範囲が狭くなり、見えづらさを感じます。 - 中近レンズ
手元から中間距離にピントが合う部分を広く取ったレンズです。手元から中間距離、5m先くらいまでが見られるレンズです。通勤や買い物、散歩や接客業、オフィスワーク(ノートPC・デスクトップPCなどのパソコン作業)、家事(料理)、読書など、近距離から中間距離を多く見る現代人の日々の生活に適しています。ただし、遠くの距離にピントが合う部分が少ないため、運転やスポーツ観戦など、遠くを見る機会が多い場合には、遠近両用レンズに掛け替える必要があります。
②近視用眼鏡と老眼用眼鏡(老眼鏡)の使い分け
近視の人が老眼になると、遠くも近くも見えづらくなります。そこで、遠近両用レンズ、中近レンズなどの累進レンズが合わない場合に、近視用眼鏡と老眼用眼鏡(老眼鏡)を使い分ける方法があります。遠くを見る時は近視用眼鏡、近くを見る時は老眼用眼鏡(老眼鏡)を使います。
ただし、累進レンズよりも安価になる一方、見たい距離が変わる度に眼鏡を掛け替えるため、複数本の眼鏡を持ち歩く必要があります。また老眼用眼鏡(老眼鏡)は、30〜40cmほどの距離にピントが合うため、パソコン作業の50〜70cmの距離が見えづらい場合には使えません。
4)近視の人が老眼になった場合の生活習慣
近視の人が老眼になると、目の疲労を感じやすくなります。そこで、目の疲れを軽減すると言われている生活習慣をご紹介します。
- 画面を見続ける時間を減らす
スマートフォンやパソコンなどの画面を見続けることは、目の疲労を蓄積します。米国眼科学会が推奨している、20分に1回20秒間、20フィート(約6メートル)先を見る「20-20-20ルール」を実践しましょう。 - 適度な睡眠をとる
睡眠不足は目の疲労を悪化させると言われています。質の良い睡眠を7~8時間程度とるようにしましょう。 - 目を温める
ホットアイマスクや蒸しタオルなどで目を温めると、血行が促進され、目の疲労回復に効果があります。 - 目の周りの筋肉をほぐす
目の周りの筋肉をほぐすマッサージは、目の疲労軽減に効果があると言われています。眼球を上下左右に動かしたり、指で目の周りのツボを押したりしましょう。 - 栄養バランスの良い食事を摂る
ビタミンAなどの目に良い栄養素を積極的に摂取したり、ルテインのサプリなども効果的と言われています。 - 紫外線対策をする
紫外線は、目にダメージを与え、白内障や加齢黄斑変性などの目の病気を引き起こすと言われています。日差しが強い季節や時間帯には、UVカット機能が搭載された眼鏡やサングラスを使用して目を守りましょう。 - 定期的に眼科を受診する
定期的に眼科を受診し、目の状態をチェックしたり、目の病気など早期発見を心掛けましょう。
引用:環境省 紫外線環境保健マニュアル2008『紫外線の眼への影響』
https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf(参照2024/03)
5)近視の人が老眼になった場合のQ&A
①近視の人が老眼になると、眼鏡はどう変わる?
近視の人が老眼になると、遠くも近くも見えづらくなります。そこで、眼鏡をどのように変えれば良いのか、疑問を持つ方も多いでしょう。老眼と近視の両方を眼鏡で矯正するには、主に以下の3つの方法があります。
- 遠近両用レンズ
1枚のレンズで遠くも近くも見られるレンズで、眼鏡の掛け替えが不要です。ただし、慣れるまで時間がかかったり、手元から中間距離の視野の狭さやゆがみを感じる場合があります。 - 中近レンズ
手元から中間距離にピントを合わせたレンズです。通勤や買い物、散歩や接客業、オフィスワーク、家事、読書などに最適です。ただし、遠くを見る場合には、遠くにピントが合う眼鏡へ掛け替えが必要です。 - 近視用眼鏡と老眼用眼鏡(老眼鏡)の使い分け
一つのピントに合ったレンズのため、クリアな視界を確保できますが、見たいものが変わるたびに眼鏡の掛け替えが必要となり手間がかかります。
②近視の人が老眼になった場合、レーシック手術は受けられる?
近視の人が老眼になった場合、近視(近視、遠視、乱視による屈折異常)をレーシック手術で矯正することは可能です。しかし、老眼自体は矯正できません。近年は眼内レンズ手術が選択されるようです。詳しくは医療機関にご相談ください。
③近視の人が老眼になった場合、どのように生活すればよい?
近視の人が老眼になると、遠くも近くも見えづらくなります。快適な生活を送るために、以下の点に気をつけましょう。
- 眼鏡選び
・眼鏡店や眼科医に相談する
・遠近両用レンズ、中近レンズ、近視用眼鏡と老眼鏡の使い分けなど、それぞれのメリット・デメリットを理解する
・使用目的やライフスタイルに合った眼鏡レンズを選ぶ
- 目の疲れを軽減する
・画面を見続ける時間を減らす
・適度な睡眠をとる
・目を温める・目の周りの筋肉をほぐす
- その他にも
・定期的に眼科を受診し、目の状態をチェックする
・眼鏡の見えづらさを感じた場合は、眼鏡店に相談する
・紫外線対策をして目を守る